ポリウレタン(Polyurethane)樹脂製の合成皮革がPUレザーです。本革に近い外観と質感で服や家具によく使われる人気の生地。ポリ塩化ビニル(PVC)よりも劣化しにくいですが、湿度に弱く、加水分解に注意が必要です。
PUレザーは、PVCレザーの改良版として登場し、現在はファッションやインテリアにも広く使われています。
本革よりも安いので、その高級な質感を生かして様々な製品で採用されていますね。

スマホやiPhoneのケースにもPUレザーが多いね。

本記事では、PUレザーの特徴と違いを徹底解説していきます。
加水分解によってボロボロになる理由、手入れ方法も紹介するので参考にしてみてください。
PUレザーとは?
PUレザーとは、ポリウレタン(Polyurethane)樹脂を原料とした合成皮革です。
つまり、本革ではなく、人工的に作られたフェイクレザーです。
土台の布地をポリウレタン樹脂で覆い、その表面をシワ加工して本革に似せています。

天然皮革に近い質感が特徴だよ。
PUレザーに似た合成皮革にPVCレザーもあります。

PUレザーの違いを解説

PUレザーは柔らかい触りが特徴で、本革に近い見た目と質感があります。
その種類は幅広く、生地の表面素材の違いだけでなく、内部構造や表面加工でも分類方法が異なってきます。
ここではPUレザーの種類とその分類を解説していきます。

わかりやすく紹介していくよ。
合成皮革と人工皮革の違い
海外と日本では、Synthetic leather(シンセティックレザー)の定義が異なります。
海外では、人工的に作られた革はすべてシンセティックレザー(Synthetic leather)。
日本では、人工的に作られた革を合成皮革(Synthetic leather)と人工皮革(Artificial leather)の2つに区別しています。

同じ英語表記でも指す範囲が違うんだね。


日本では、その内部構造に基づいて合成皮革と人工皮革という言葉が使い分けられています。
人工皮革の特徴は動物の皮膚構造を再現している点。
これにより耐久性が向上しています。

どちらも表面に合成樹脂(ポリウレタンなど)を使う点は同じですが、内部構造が大きく異なっています。
合成皮革
合成皮革は、布地を土台に合成樹脂を塗布することで、表面を天然革のように仕上げています。

一般的なフェイクレザーだね。

合成皮革は身の回りの製品に広く使われています。
フェイクレザーやレザー調の服やインテリアなどは基本的に合成皮革です。

人工皮革
人工皮革は、動物本来の皮膚構造を再現したマイクロファイバーを土台に合成樹脂をコーティングしています。

皮膚のコラーゲン層をマイクロファイバーで再現してるよ。

人工皮革は耐久性が向上し、天然革よりも扱いやすいことが特徴。
ランドセルやサッカーボールなど耐用年数や耐衝撃性が求められる製品に使われています。
実際に、1986年のメキシコワールドカップ以降、FIFA公式サッカーボールは人工皮革です。

ちなみに、人工皮革の表面コーティングにはポリウレタンが使われることが多いです。
PUレザーとPVCレザーの違い
フェイクレザーの土台の違いで合成皮革(布地)と人工皮革(マイクロファイバー)に分けられました。
さらに、表面素材にも種類があり、ポリウレタン(PU)とポリ塩化ビニル(PVC)に分けられます。

PUレザーはよく聞くね。

合成皮革の歴史は古く、1940年代にはPVCレザーが普及しました。
その後、デュポン社がポリウレタンを表面素材に採用したPUレザーを開発しました。

合成皮革の時代の流れを見ると、PVCレザーの進化版がPUレザーということが分かります。
しかし、一概にPUレザーが優れているわけでなく、メリット・デメリットがあります。
メリット・デメリット
PVCレザーに比べて、PUレザーのほうが値段が高く、機能性や肌触りが上質です。
PVCレザーは安価で手入れしやすいですが、本革の質感や通気性でPUレザーに劣ります。

質感や機能面はPUレザーのほうがイイね!
以下の記事では、PVCレザーとはそもそも何なのか、その劣化や手入れ方法も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

PUレザーの種類の違い
PUレザーの生地には様々な種類があり、生地の色は渋い色から派手な色まであります。

さらに、同一の色でも加工方法により質感が異なり、表面はマットや光沢がある生地も。
牛革の様なシボ(自然な模様)が入っている生地もあります。

加工次第でシワや凹凸も変わるんだね。

自動車やバイクのシートに適した難燃性レザー生地もあり、種類は多岐に渡っています。
PUレザーを種類別に解説

ここではPUレザーの種類を解説していきます。
それぞれのPUレザー生地の写真と活用例も紹介するので、ぜひ読んでみてください。

気になるPUレザーをクリックしてね。
無地のPUレザー
ポリウレタン製レザー(PUレザー)は様々な種類があり、同じ黒色でも質感や光沢で幅広い種類があります。

同じ素材でも印象が違うよね。

ファッションや小物に使われることが多く、質感の違いだけでも種類が多岐にわたります。
PUレザーは肌触りが良く、本革に近い質感であることからも、肌が触れるようなイスなどの製品によく使われます。

弾力性と柔軟性が高く、曲面がポイントになる製品にも向いているフェイクレザーです。
ドットパンチングレザー
ドットパンチングやパンチングと呼ばれる加工のレザーがこちらです。

丸くて小さい穴あるね。

パンチング(穴)がPUレザーを貫通しており、通気性が良いのが特徴です。

通気性の良さを生かして、イスの座面などに使われることが多いレザーです。

パンチングレザーの欠点としては、ホコリやゴミが穴に詰まりやすい点。
手入れでは、掃除機やブラシを使うとホコリを取り除くことができます。
カーボンレザー
カーボンレザーはポリ塩化ビニル(PVC)や天然皮革を下地とし、表面にカーボンフィルムを熱圧着させたレザーです。

表面のカーボンフィルムがパターン状になっており、近くで見ると幾何学状になっています。

これは表面のカーボンフィルムの模様なんだね。

カーボンレザーは摩擦や傷に強く、耐水性もあります。
そのため、製品の構造上、ストレスや負荷がかかりやすい箇所に使われる傾向があります。

また、スポーティーで高級感がある外観のため、レーシングシートやゲーミングチェアにも使われることが多い素材です。

合成皮革のカーボンレザーでは、ポリウレタンよりもポリ塩化ビニル(PVC)がよく使われます。
人工皮革
人工皮革は動物の皮膚構造を再現した、天然皮革に限りなく近いPUレザーです。
表面は加工次第で質感が変わるので、通常のPUレザーと比べても判別しにくいです。

しかし、その構造上、人工皮革はマイクロファイバー層(不織布層)の厚みがあります。

触っただけで丈夫さを感じるよ。

人工皮革はマイクロファイバー層にポリウレタンを染み込ませており、表面層もポリウレタンでコーティングされています。
そのため、人工皮革もPUレザーと呼ぶことができますが、一般的にPUレザーは合成皮革を指すことが多いです。
加水分解/劣化/寿命と手入れ方法

PUレザーは本革に比べると耐久性に劣りますが、PVCレザーに比べると経年劣化がしにくいと言えます。
しかし、湿度が高い環境には弱く、加水分解により表面がボロボロになったり、ベタベタになります。
ここではPUレザーの劣化理由と手入れ方法を解説するので、参考にしてみてください。
PUレザーの劣化と寿命
ポリウレタンの最大の課題は加水分解による経年劣化です。
加水分解は室温でも進行し、高温や高湿度の状況下で劣化が促進します。

ウレタン結合が水と反応するよ。

劣化を遅らせる加工だったり、使用環境や取扱方法により劣化スピートが変わります。
ボロボロになったり、ベタついたら、それはポリウレタンの寿命のサイン。
特にベタベタするのは加水分解によるポリウレタン劣化の特徴です。
ヒビ割れ・剥離の劣化例
実際に筆者が使用したゲーミングチェアは、3年目でPUレザーが劣化していました。
PUレザーの劣化でみられる剥離とヒビ割れです。

PUレザーの表面のポリウレタン層が剥がれ、その下地の白い布が見えています。
劣化すると、ボロボロと表面が剥離してしまいます。

PUレザーを採用した製品の場合、ポリウレタンの劣化が買い換え理由になるケースが多いと感じます。
定期的に手入れすることで寿命を延ばせるので、ぜひメンテナンスするようにしましょう。
PUレザーの手入れ方法
まず、PUレザーは高い撥水性があるので、飲み物をこぼしても拭き取れば問題ありません。

手入れは簡単だね!

しかし、PUレザーは加水分解により劣化するため、最後は乾拭きする必要があります。
撥水性があるので水を弾きますが、そのまま放置したり、湿らせた状態にすると劣化スピードが進んでしまいます。
手入れの基本は乾拭きであり、水拭きした場合は最後に必ず乾拭きしましょう。

通気性を高めたパンチングレザーの場合には、貫通した穴の部分にホコリやゴミが入り込んでしまうことがあります。

ホコリやゴミは掃除機を使って吸い取りましょう。
重曹やセスキ炭酸ソーダがあると、PUレザーのニオイ対策にも使えますよ。

PUレザー製のイスやゲーミングチェアの掃除については以下の記事を参考にしてみてください。

PUレザーに関するQ&A
ここではPUレザーに関する「よくある質問」に回答していきます。
PUレザーとは?まとめ
本記事では「PUレザーとは?」という疑問に対して、PUレザーの種類や劣化・手入れ方法も含めて解説しました。
日本では合成皮革と人工皮革があり、さらに表面素材の違いでPUレザーとPVCレザーの主に2種類があります。

PUレザーは本革に近い質感だね。
PUレザーは撥水性が高いので手入れが楽ですが、湿気に弱いために乾拭きが基本。
水をこぼしても問題ないですが、水が染み込んだ状態や濡らしたまま放置すると劣化が進行します。
加水分解に注意する必要があり、表面がボロボロしたり、ベタベタしたら、それはPUレザーの寿命です。
PVCレザーよりは劣化しにくく、生地の質感は本革に近く、高級感があるのがPUレザーの特徴です。


