皆さん、シンセティックレザーをご存知ですか?
英語では”Synthetic Leather”と書きます。

本革ではないことは分かるね。
100均でもシンセティックレザーが販売されており、広く使われる言葉になっています。

まず、日本においてシンセティックレザーというのは…
合成皮革を意味します。


一方、海外ではシンセティックレザーはフェイクレザー全体を指しています。
この国内外でのシンセティックレザーの違い、さらに実用例や劣化についても解説していきます。
シンセティックレザーとはそもそも何か、その劣化や手入れも解説していきます。
シンセティックレザーとは?国内外の違い
まず、注意すべき点は、海外と日本でSynthetic leather(シンセティックレザー)の定義の範囲が異なる点です。


海外では人工的に作られた革はすべてシンセティックレザー(Synthetic leather)です。
一方、日本では合成皮革(Synthetic leather)と人工皮革(Artificial leather)の2つに大別しています。
日本におけるシンセティックレザー
日本では合成皮革のみをシンセティックレザーと呼んでいます。


日本では全てまとめてフェイクレザーとも呼ぶね。
そのため、日本ではフェイクレザーと記載すると、人工皮革も含む意味になります。
しかし、実情として 、100均や手芸店で扱われるフェイクレザーは合成皮革がほとんどです。
海外におけるシンセティックレザー
海外ではSynthetic leatherと呼ぶと、すべてのフェイクレザーを指します。

また、Faux leather(意味:人造皮革)やImitation leather(意味:擬革)といった用語もありますが、細かく使い分けられていません。
日本における人工皮革を直訳するとArtificial leatherですが、この単語も日本より幅広く使われている印象です。

どれもフェイクレザーの別名って感じだね。
シンセティックレザーと合成/人工皮革

海外では人工的に作られた革(フェイクレザー)をシンセティックレザーと総称します。
しかし、日本ではフェイクレザーを合成皮革と人工皮革に大別し、合成皮革のみをシンセティックレザーとしています。
合成皮革と人工皮革の違い
日本では合成皮革(シンセティックレザー)と人工皮革が明確に分けています。
そのポイントはレザー生地の内部構造です。

レザーの下地が違うんだね。

合成皮革の構造
合成皮革は、布を土台に合成樹脂(ポリウレタンなど)を塗布して表面を天然革のように仕上げています。

低価格なレザージャケットにも使われています。

表面の合成樹脂にはポリウレタンとポリ塩化ビニルの2種類があり、それぞれ特徴があります。

外観と質感で選ぶと、PUレザーのほうが優れています。
以下の記事では、PUレザーやPVCレザーとはそもそも何か、その劣化や手入れに関しても詳しく説明しているので、参考にしてみてください。


人工皮革の構造
人工皮革は、天然革の組織構造に似せたマイクロファイバーに合成樹脂を染み込ませています。
さらに、表面には合成樹脂でコーティングして天然革のような質感に仕上げています。

人工皮革のほうが内部構造も含めて天然皮革に近いんですよ。
学生靴やローファーに使われることも多い素材です。

また、ランドセルやサッカーボールなど耐用年数や耐衝撃性が求められる製品に使われています。
実際に、1986年のメキシコワールドカップ以降、FIFA公式サッカーボールは人工皮革です。

合成皮革と人工皮革の特徴
ここまで合成皮革(シンセティックレザー)と人工皮革の構造の違いを解説しました。

生地の内部構造が異なるんだね。
人工皮革のほうが合成皮革よりも優れており、価格も高くなっています。
歴史的にも、人工皮革のほうが新しい生地です。

人工皮革は耐久性が高いだけでなく、質感が天然皮革に近く、加工性も高いことが特徴であり、様々な分野で活用されています。

人工皮革の製造から活用まで動画で見れるよ。
シンセティックレザーの製品を解説
日本におけるシンセティックレザーは合成皮革です。
合成皮革は広く出回っており、フェイクレザー生地として低価格で入手できます。

シンセティックレザーの商品を紹介するよ。
はぎれ・カットクロス
100均で購入できるフェイクレザー生地も合成皮革(シンセティックレザー)です。

ポリウレタン製やポリ塩化ビニル製と丁寧に素材を明記した商品もありますが、ザックリとシンセティックレザーと書かれたものが多いです。

このように、シンセティックレザー自体を100均や手芸店で購入することもできます。

服や雑貨・加工製品
ネットショッピングをしていると、シンセティックレザーと表記された製品を見かけることがありますよね。
ここまで解説したとおり、シンセティックレザーは一般的な合成皮革を意味しています。

本来なら、PUレザーやPVCレザーと樹脂の種類までハッキリ明記して欲しいところ。
おそらく、服や小物を製造する時点で、海外製フェイクレザーの樹脂の種類まで特定できていないのかな…と思います。
なぜなら、海外ではザックリとシンセティックレザーとして流通しているので。

また、ポリウレタンやポリ塩化ビニルという樹脂名がネガティブな印象を与える可能性があるので、表記を避けているのもしれません。
いずれにしても、シンセティックレザーは合成皮革であり、フェイクレザーです。
劣化はどんな感じ?写真付きで解説
ここではシンセティックレザー(合成皮革)の劣化を解説していきます。
天然皮革は経年変化を楽しめますが、合成皮革は時間とともに劣化するのみです。
合成皮革のうち、PVCレザーとPUレザーの2種類の違いを踏まえながら、写真付きで紹介していきます。

使用方法や環境によって劣化スピードも変わるよ。
PUレザーの劣化
実際に筆者が使用したゲーミングチェアは、3年目でPUレザーが劣化していました。
PUレザーの劣化では剥離とヒビ割れが一般的にみられます。

PUレザーの表面のポリウレタン層が剥がれ、その下地の白い布が見えています。
劣化すると、ボロボロと表面が剥離してしまいます。

PUレザーを採用した製品の場合、ポリウレタンの劣化が買い換え理由になるケースが多いと感じます。
定期的に手入れすることで寿命を延ばせるので、ぜひメンテナンスするようにしましょう。
PVCレザーの劣化
PUレザーの劣化の特徴は加水分解であり、表面がベタベタしたり、ボロボロになります。
一方、PVCレザーの劣化では表面が硬くなってカチカチとなりヒビ割れます。
また、劣化していくと、合成樹脂層がボロボロと剥がれて落ちてしまい、土台の布地が見えてきます。
使用頻度や環境により異なりますが、PUレザーとPVCレザーともに耐用年数は3年程度とされています。
以下の記事では、PUレザーやPVCレザーとはそもそも何か、その劣化に関しても説明しているので、参考にしてみてください。


手入れ方法を素材別に解説
まず、シンセティックレザー(PU/PVC)は高い撥水性があるので、飲み物をこぼしても拭き取れば問題ありません。

手入れは簡単だね!

ただ、PUレザーは加水分解により劣化するため、最後は乾拭きする必要があります。
撥水性があるので水を弾きますが、そのまま放置したり、湿らせた状態にすると劣化スピードが進んでしまいます。
水拭きした場合は最後に必ず乾拭きしましょう。

一方、PVCレザーは耐水性があるので水拭きで問題なく、中性洗剤を使うこともできます。
PVCレザーのほうが手入れしやすい特徴があります。
まとめ:シンセティックレザーとは?
本記事では、シンセティックレザーを解説し、日本における合成皮革(シンセティックレザー)と人工皮革の違いも解説しました。

皮膚の内部構造まで再現したのが人工皮革だね。
そして、日本においてシンセティックレザーは合成皮革を指します。

100均や手芸屋で入手できるシンセティックレザーは合成皮革です。

人工皮革は加工製品の素材として流通しており、私達の身近な商品にも使われています。
日本で「シンセティックレザー」は合成皮革を指しますが、海外では人工的に製造されたすべての皮革を指すことに注意しましょう。
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